TSUBASA ZAITAKU / PREMIUM COLUMN 09

表面利回り10%でも赤字になる?収益物件の実質利回りと手残りの計算方法

「表面利回り10%なら、10年で元が取れる」と考えるのは危険です。家賃収入が高く見えても、空室、管理費、固定資産税、修繕費、借入返済を加えると手残りがほとんどないこともあります。数字を分けて理解しましょう。

まず結論

表面利回りは満室想定などの年間賃料収入を購入価格で割った指標で、費用も借入返済も含みません。収益物件の投資判断では実際の賃料収入、運営経費、取得諸費用、年間返済額を別々に計算し、現金収支まで確認する必要があります。

表面利回り10%の意味とは?

表面利回りの計算式

表面利回り=年間賃料収入÷物件購入価格×100です。例えば購入価格6,000万円・満室想定年間賃料600万円なら10%。これは利益率でも、借入返済後の現金収益率でもありません。

実質利回りとNOIの違い

実質利回りは運営費用を差し引き、取得諸費用を含めた投資額で割る計算が一般的ですが、計算範囲には流儀があります。NOI(営業純収益)は通常、賃料等の運営収入から運営費用を引いた値で、借入返済や所得税は含めません。

具体例:表面利回り10%でも現金収支がマイナス

収入と運営費を積み上げる

購入価格6,000万円、満室想定家賃600万円、稼働率90%で実際の家賃収入540万円とします。管理費・税金・保険・通常修繕・募集関連費の合計を180万円と仮定すると、NOIは360万円です。

融資返済と臨時修繕を加える

年間元利返済額を390万円と仮定すると、税引前の年間キャッシュフローはマイナス30万円。さらに突発的な設備交換があれば悪化します。ここでの返済額は架空の例で、融資条件から算定した実例ではありません。

利回りだけで購入を決めない

購入諸費用を300万円とすると、簡便な実質利回りは360万円÷6,300万円=約5.7%。満室想定の10%とは大きく異なります。返済元金は税務上の必要経費ではないなど、税額計算と現金収支は別です。

購入前に確認する費用とリスク

空室率・家賃下落

現況入居率だけでなく、過去の退去・募集期間、周辺の供給状況を確認します。募集賃料が実際に成約可能かも重要です。

修繕費と設備更新

屋上防水、外壁、給排水、給湯器、エアコン等はまとまった支出になり得ます。直近数年の支出だけでなく中期修繕を見込みましょう。

融資金利と返済期間

借入額、金利、返済期間によって毎月の手残りが大きく変化します。変動金利の場合は金利上昇時の試算も行います。

投資判断のチェック方法

楽観・標準・厳しめの3パターン

満室・現況・入居率低下の3つのケースをつくり、家賃下落や修繕費増加を織り込みます。数字は必ず売主のレントロールと入金実績で検証します。

出口価格もシミュレーション

購入時の利回りが高くても、売却時の利回りが上昇すると価格が下がる場合があります。家賃収入だけでなく売却時の残債にも注意します。

よくある質問(FAQ)

Q. 表面利回り10%なら年間10%の利益ですか?

A. いいえ。運営経費、空室、修繕費、借入返済、税金を差し引いていないため利益率ではありません。

Q. 実質利回りとキャッシュフローは同じですか?

A. 異なります。実質利回りは費用控除後の収益に着目する比率で、キャッシュフローは借入返済等を含む資金の増減を示します。

Q. NOIから借入返済を引けば手残りですか?

A. 基本的な税引前現金収支の目安になりますが、資本的支出、臨時費用、税金などを別途考慮する必要があります。

Q. 表面利回りが低い物件は必ず不利ですか?

A. 一概にはいえません。修繕負担、賃貸需要、融資条件、将来の売却価格などを総合して判断します。

※本記事は一般的な情報提供です。取引条件、税務、法務、融資条件は物件ごとに異なります。専門家の確認が必要です。

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